院長のブログ
大腿骨頭すべり症とは?
「大腿骨頭すべり症(SCFE)とは?」
大腿骨頭すべり症(SCFE:Slipped Capital Femoral Epiphysis)は、成長期の子どもに特有の股関節疾患です。主に 10〜15歳の男子に多く、男女比はおよそ2〜3:1で男子に多いことが知られています。股関節の骨は、大腿骨の丸い骨頭と、それを支える頸部から構成されますが、成長期の子どもにはこの部分に「骨端線(成長軟骨)」という軟らかい層が存在します。大腿骨頭すべり症とは、この骨端線を境にして骨頭が後方にずれてしまう病態です。
特徴的なのは、発症の中心が成長期の後半であることです。この時期は身長が急激に伸びる「成長スパート」にあたり、骨端線はホルモンの影響で一時的に脆くなります。この脆さが体重負荷に耐えきれない場合、骨頭が徐々に、あるいは急激にずれてしまうのです。
「先天性ではない理由」
しばしば誤解される点として、「生まれつきの異常(先天性)」に分類されるのではないかという疑問があります。しかし、大腿骨頭すべり症は 先天性疾患ではありません。理由は明確で、この病気は骨端線が存在する“成長期”にしか発症しないためです。骨端線は乳児期よりも成長期後半に負荷がかかりやすく、また思春期のホルモン変化によって弱くなることが特徴です。つまり、生まれつきの問題というよりは、成長期特有の「後天的な力学ストレスと成長軟骨の弱さ」が組み合わさって起こる疾患です。
「主な原因」
① 成長期の骨端線の脆弱性
骨端線は、大人の骨とは異なり“柔らかい”構造です。思春期の急激な成長によってさらに脆くなり、力学的ストレスに弱くなります。この弱点部位に継続して荷重がかかることで、骨頭が後方へとずれていきます。
② 体重負荷(肥満は最大のリスク)
特に男子では成長期に体重が急増しやすく、股関節にかかる力も大きくなります。肥満傾向の子どもは 4倍以上発症しやすいと言われ、最も強い危険因子の一つです。
③ 急激な成長スパート
骨の成長が急激に進む時期には、骨端線に負荷が集中しやすく、耐えきれなくなることで発症につながります。
「その他、関わる要因として」
内分泌・代謝疾患です。先天性ではないものの、下記の疾患があると骨端線が弱くなり、発症しやすくなります。
・甲状腺機能低下症
・成長ホルモン分泌異常
・性腺機能低下
・慢性腎不全
ただし、これらは両側に発症しやすい 特徴があります。(SCFEは基本片側)鑑別診断時に整形外科では特に注意されるポイントです。
「軽い外傷が引き金になる」
跳んだ、走った、転んだなど、わずかな外力で症状が出るケースがあります。しかし実際には、外傷が原因というより“元々弱い骨端線に最後の負荷がかかった”だけで、根本原因は骨端線の脆弱性と成長・体重負荷です。
「症状の特徴」
大腿骨頭すべり症は、股関節の病気ですが、膝の痛みとして訴えることが多いのが特徴です。子どもは股関節の痛みを膝に感じやすいため、整骨院や学校の保健室では「成長痛」や「膝の使いすぎ」と誤認されることがあります。
◻︎股関節または大腿部、膝の痛み
◻︎歩き方が変になる(跛行)
◻︎股関節の内旋が制限される
◻︎長く歩けない
これらが見られたら注意が必要です。治療は手術が原則です。整骨院では治せない疾患です。
大腿骨頭すべり症は放置すると悪化し、骨頭壊死や将来の変形性股関節症につながることがあります。
治療はピンニング(骨頭をスクリューで固定する)が基本で、保存療法だけでは進行を止められません。
私たち整骨院として最も重要なのは、「見逃さず、早期に整形外科へ紹介すること」 です。
★野毛整骨院の場所★
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